あなたと大切な人との絆のために  あなたの大切な人のために祈ろう!


 社会学では「近代」を〈魔術から解放された世界〉と定義しています。それ以前までは人 間生活の身近なところに魔術的なもの、魔法的なものがありました。しかし、合理的な近 代社会へと移り行く中で、人々は〈魔の世界〉から解放され、〈魔のない世界〉の住人となり ました。近代の特徴は消費社会と合理主義です。これらは物質的な豊かさをもたらしまし たが、人と人とを切り離し、一人一人を孤独な存在へと追いやりました。そして、今や現代 では友人や隣人に対する信頼も、家庭における親子間や兄弟間の愛情も、どうやってそ れを保っていけば良いのか、人々は分からなくなっています。それが私たちにいっそうの 不安と孤独を増幅させています。

 ところがここ十年、世界中の子どもたちのみならず、大人たちまでも魅了したハリー・ポ ッター・シリーズは、魔法世界がその話の舞台でした。日本では宮崎駿監督の映画作品 が封切られる度に大ヒットし、どの作品にも魔法が欠かせない要素として取り入れられて います。なぜ今、魔法なのでしょう。ハリー・ポッター・シリーズと宮崎駿監督作品に共通す るのは、主人公が他者との出会いを通して絆に気づき、友情を深め、力強く成長していく 姿です。そこで必要となる舞台装置が〈魔法〉でした。裏を返せば、作品の中に〈魔法〉とい う要素を登場させるのでなければ、人と人とが結び付き、力を合わせ、新しい絆を築いて いくという物語は、現代人にとってどこか空々しく聞こえるのではないでしょうか。それほど 私たちの生きる現代は人間関係が希薄だと言えます。

 では、私たちの〈魔のない世界〉である現代において、人と人とを結びつけ、友人や隣人 に対する信頼、家族に対する愛情を築く〈魔法〉に代わる足がかりはあるのでしょうか。私 はそれは「祈り」だと思います。祈りは私たちの手の届かないところ、手出しできないところ に、神にあって手を届かせて頂ける唯一の方法です。〈魔のない世界〉と言われる私たち の現実に、今も不思議な力をもって働く唯一本物の力です。「祈る」その心は必ず相手に 届きます。祈るというその行為が、あなたとあなたの大切な人との間に、見えざる絆を築き ます。

 祈りの言葉は気にせず、まずは、「神様・・・」と、心に思うままを祈ってみてください。